![受け身](/images/gazou/migimaemawariukemi.jpg)
柔道でまず覚えなくてはいけないのが、「受け身」です。
柔道は取っ組み合って投げ飛ばし、地面に叩きつける格闘技なので、相手にダメージを与えること
が前提になっています。
そのまま投げられては大ケガ、最悪打ち所が悪いと死にかねません。
投げられた時にそうならない様、体を守るために受け身をしっかり身につける必要があります。
柔道の実力者は、組手や技などの技術がうまい上に、受け身の技術も優れています。
どんな素人の下手な技にも、さも見事な技を掛けられたかの様にきれいにスッ飛びます。
また、受け身を取る姿も形がビシッとしていて美しいです。
技を掛けた素人をその気にさせてしまうほどです。
要は、強ければ強いほど受け身も上手くなるという事です。
つまり、実力差があればあるほど、弱い方の怪我のリスクが高まるという事です。
つまり、実力差があればあるほど、弱い方の怪我のリスクが高まるという事です。
指導者や実力がかなり上の人間は、ケガさせないように指導をしっかり行い、加減をしなければなりません。
柔道の顧問が白帯の生徒を投げ飛ばして、障害を与えるほどの大怪我を負わせることなど、言語道断の事態です。
受け身の基本は、
・畳に叩きつけられる瞬間に上腕の内側と掌(てのひら)の面を使って畳を強く叩く
・そうして全身に掛かる衝撃を分散させ、ダメージを軽減させる
・そうして全身に掛かる衝撃を分散させ、ダメージを軽減させる
![受け身](/images/gazou/tatakikata.gif)
受け身をしっかりマスターすれば、いくら投げられても怪我をすることはそうないです。
(ただし、疲れたりはする!)
(ただし、疲れたりはする!)
コンクリートの地面や板の間で手を叩くと、手はすごく痛いですが、体へのダメージは無かったりします。
雨の日もし滑って転んだら、試しに受け身を取ってみるとよく分かります。
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後ろ受け身
![後ろ受け身](/images/gazou/ushiro0.gif)
後ろ側に投げられた時に、主に後頭部を守るためにする受け身。
1、蹲踞(そんきょ)
膝の間が拳(こぶし)1~2個分開いた蹲踞(そんきょ)の姿勢で、両腕を前に真っ直ぐ伸ばす。 てのひらは畳面に向ける。![後ろ受け身](/images/gazou/ushiro1.jpg)
2、後転
そのまま後ろに転がっていく。 ちょっと後転する感じで。![後ろ受け身](/images/gazou/ushiro2.gif)
3、畳を叩く
後頭部をぶつけない様、帯の結び目を見る感じで顎を引き、両腕で畳を強く叩く。![後ろ受け身](/images/gazou/ushiro3.gif)
畳を叩いた時の腕の角度は、胴体から45°の角度になるようにする。
それより狭いと自らの胴体を叩いてしまい、受け身が失敗する可能性が高まる。
また広いと、倒れる衝撃に耐えられず後頭部をそのまま打ち付けてしまうので、受け身の意味が無くなってしまう。
脚は天に向かって真っすぐ伸ばす。
ギリ両脚が接触しない程度に。
倒れた際に、体の角度が90°になるようにする。
![後ろ受け身](/images/gazou/ushiroukemi37.jpg)
脚が床についた状態だと、受け身の効果がなくなる。
初心者は脚を伸ばした状態で尻を付き、腕を伸ばして後ろに倒れ込むやり方からスタートする。
![後ろ受け身](/images/gazou/0020a.gif)
上級者は立った状態から蹲踞(そんきょ)の姿勢に移行しつつ、そのまま倒れていく。
![後ろ受け身](/images/gazou/ushiro4.gif)
さらに発展形として、蹲踞の姿勢になった所でジャンプして、背中を畳に叩きつけるように倒れて受け身を取る。
これは衝撃が強い受け身の練習方法。
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前受け身
![前受け身](/images/gazou/mae1.jpg)
立った姿勢で肘から上を“ハ”の字型にし、そのまま前に倒れ込む。
両手先は、拳一個分開ける。
![前受け身の構え](/images/gazou/mae2.jpg)
腰はやや引き気味にして前に倒れ込む。
接地時に腹や股間、膝をぶつけない様にするため。
![前受け身](/images/gazou/mae3.jpg)
接地時、脚はつま先立ちで維持し、立ち姿勢の時より股を開く。
前腕で畳を大きな音が出るように叩く。
![前受け身](/images/gazou/mae4.jpg)
初心者は、膝を畳に付けた状態からやってみる。
受け身の際、膝は浮かす。
![前受け身、しゃがみ姿勢](/images/gazou/shagami.jpg)
前受け身は滅多に使う事はないが、立ち技中、相手ともつれて前に倒れた時に使う。
![前受け身](/images/gazou/mae5.gif)
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横受け身
![横受け身](/images/gazou/yokoukemi.jpg)
状況的に、一番使用頻度の高い受け身。
片方の腕だけで畳を叩き、やや体を横に傾けて行う受け身です。
右横受け身と左横受け身があります。
右横受け身と左横受け身があります。
「取り」(技を掛ける方)は、釣り手や引き手を放して「受け」(投げられる方)を投げっぱなしに
してはいけません。
ケガさせないよう、受け身をしっかりと取れるように、投げる際に「受け」の引き手を 引いてあげます。
ケガさせないよう、受け身をしっかりと取れるように、投げる際に「受け」の引き手を 引いてあげます。
柔道漫画でよくある、投げ飛ばされて宙を舞うとか、壁に叩きつけられて穴が開くとかのシーン はありえないわけです。
(「半世紀前の漫画かよ!」と言わないで(汗))
という事で、「受け」は片手を掴まれているので、必然的にもう片方の手でしか畳を叩けない事 になります。
横受け身は約束事が多いので、きちんと覚えないとケガしやすいです。
横受け身のポーズ
胴体
横っ腹の背中寄りの部分が畳に着くようにし、45°の角度で背中を浮かせる。![横受け身](/images/gazou/yokoukemi3.jpg)
真横を向いてしまうと、畳をちゃんと叩けないうえに相手が自分の上に乗っかってきてプレスされ、 肋骨を折ることがあります。
(ちなみに肋骨を折ったのは僕です(汗))
![横受け身](/images/gazou/yokoukemi4.jpg)
また、背中が畳にベタ付き状態になると、やはり相手からのし掛かられた時に、満足に畳を叩けず、 モロに技の威力と相手の体重を受けてしまいます。
その時のもんどりうつ苦しさと言ったら、もう…。(息できないし!)
頭の位置
後ろ受け身と同じく帯の結び目を見るように顎を引き、後頭部を浮かせる。頭部を打つのが一番怖いので、ここは一番気をつけてください。
腕の位置
胴体から45°の角度で畳を叩きます。これより狭かったり広かったりすると、後ろ受け身と同じように失敗します。
もう片方の腕は、一人で練習する時は帯の結び目をてのひらで触れるように腹に寄せます。
脚の位置
脚は、背中を浮かす側は膝の角度を110°ほど開き、畳と垂直に立てる。その際、足の裏を全て畳に着ける。
これより狭かったり広かったりすると、踵(かかと) を強打して痛めることがあります。
畳を叩く腕側の脚は、やや放り出すようなイメージで脚の側面全体が畳に接するようにします。
股の開く角度はやはり45°くらいで、膝はちょっと曲げておく形にします。
![横受け身](/images/gazou/yokoukemi2.jpg)
脚も股の開きが狭かったり膝を曲げ過ぎたりすると、自分の脚が重なってしまい、更にそこに 「取り」の体が乗っかってきたりすると、骨折などのケガに繋がるリスクが高まります。
初心者の練習方法
![横受け身](/images/gazou/yoko0.gif)
この体勢を最初に作ってから、腰を浮かせるくらい両脚を天にあげ、反対側に向き直って、 始めと左右対称の格好をします。その際、畳を強く叩きます。
初心者の時は、この「左右反転」を何度も繰り返し練習させられます。
通常のやり方
1、蹲踞(そんきょ)のポーズ
![横受け身](/images/gazou/yoko1.jpg)
後ろ受け身と同じく蹲踞(そんきょ)のポーズを取り、畳を叩く側の腕を体の真横に 伸ばします。
もう片方の腕は、同じ側の腿(もも)の根元にてのひらを添えます。
2、畳を叩く側の腕で同じ側の膝部分を払うように動かす
![横受け身](/images/gazou/yoko2.jpg)
3、体を横に倒す
払った方の脚を前に伸ばしつつ側面を畳に着けるようにもっていき、体全体を横に倒していく。![横受け身](/images/gazou/yoko3.gif)
4、寝転んで畳を叩く
「横受け身のポーズ」で説明した形を取る。当然、畳はしっかり叩きます。![横受け身](/images/gazou/yoko4.jpg)
さらに発展形としては、倒れた際に脚を両方とも斜め上に伸ばします。
![横受け身](/images/gazou/yoko5.jpg)
胴体と両腕の位置は変更なしです。
脚はぶつからないように若干開く形にします。
この姿勢のまま10秒ほどジッと静止出来るようにします。
![横受け身](/images/gazou/yokoukemi1.jpg)
昇級審査では受け身も審査対象なので、これができないと審査員の先生方に怒られます。
真上に向き過ぎていたり、畳スレスレだったり、プルプル震えていたりしたら、当然おこられます!
(この時間がやたら長いんだ、これが…!)
以下のGIFアニメを参考にしてみてください。
「寝姿勢(右→左)→脚浮かせ姿勢(右→左)」の順番です。
![横受け身](/images/gazou/yoko.gif)
立ち姿勢から
![横受け身](/images/gazou/yoko6.gif)
上級者レベルは、完全に立った姿勢から畳を叩く側の腕で同じ側の脚を払う素振りをし、 蹲踞(そんきょ)姿勢と同じように脚を伸ばしながら横に倒れていき、両脚を斜め上に伸ばし て受け身を取ります。
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前回り(前方回転)受け身
![前回り受け身](/images/gazou/migimaemawariukemi.jpg)
横受け身の発展形のような受け身。
立ち姿勢からでんぐり返し(前転)するような形で回る。
畳に倒れ込んだ時の姿勢は、横受け身と同じ形。
習得後は、寝たままでなく回転の勢いを使って起き上がるやり方で練習します。
黒帯になったらこれしかやらなくなりますね!
「右前回り受け身」のやり方
○立ち姿勢で、左足を半歩下げる。![前回り受け身立ち姿勢](/images/gazou/mawari1aa.jpg)
○左手てのひらを畳に着く。
肘はひねって真左に、指先は真右に向ける。
両脚と左手を頂点にして、正三角形を作る。
右手を肘は真右、指先は真左に向け、腕全体は弧のように緩やかに曲げて、正三角形 の真ん中にてのひらを添える。
![前回り受け身、三角形](/images/gazou/sankakkei1.jpg)
○この姿勢を維持するのはきついので、すぐに弧の様に緩やかに曲げた右腕をタイヤ みたいに畳に転がしていき、肩からでんぐり返しをしていく。
その際、右手は畳に着けっ放しにせずに、左腕と左脚の間を通すようにする。
○顔は左側を向き、そのまま天を見る様に回っていく。
![前回り受け身回転時](/images/gazou/mawari1a.gif)
○多少勢いをつけて、真っ直ぐ転がっていく意識で。
勢いが少ないと初心者は、受け身を取る姿勢が真横になってしまう。
これだと、典型的なド素人レベル。
色々失敗しちゃっているパターン
・脇が開き過ぎ。背中全体が畳についてしまい、後頭部も直撃。
・脚が重なり、ぶつかって痛い。回転不足で横向きになっている。
・脇が開き過ぎ。背中全体が畳についてしまい、後頭部も直撃。
・脚が重なり、ぶつかって痛い。回転不足で横向きになっている。
![前回り受け身、失敗例](/images/gazou/shippai1.jpg)
○右肘がカクっと曲がってしまうと、そのまま畳に肘を打ち付けてケガする可能性がある ので注意。
○頭も左を向けず真っ直ぐだったりすると、でんぐり返し時に畳に前頭部をぶつける事が あるので、最初は前が見えなくて怖いかもしれないけど、絶対顔は左を向ける事!
![前回り受け身、回転時](/images/gazou/katakaramawaru1.jpg)
○回転したら、横受け身と同じ形をとって畳を叩く。
回転の勢いがあるので、体への衝撃は強くなる。
畳を叩く方の腕は左腕。
右手は、横受け身と同じく帯を触る形。
![前回り受け身、終了時](/images/gazou/maemawariukemi.jpg)
上で説明した形を覚えたら、今度はちょっと勢いをつけてでんぐり返しをしてみる。
腕で畳を叩く際、そのまま畳を押し出して体を起こしていく。
腹筋もちょっと力を入れて。
慣れると、スムーズに立てるようになる。
![右前回り受け身立ち上がり時](/images/gazou/mawari2.gif)
以下が、右前回り受け身のアニメGIF。
前半は寝た姿勢での受け身、後半は受け身をして立ち上がる姿勢。
![右前回り受け身](/images/gazou/mawari1to2.gif)
「左前回り受け身」のやり方
「右→左」「左→右」に変換してやってみて!同じ事書いても仕様がないので!
以下が、左前回り受け身のアニメGIF。
同じく前半は寝た姿勢での受け身、後半は受け身をして立ち上がる姿勢。
![左前回り受け身](/images/gazou/mawari3to4.gif)
○上級者だと、前に3人ほど横たわらさせて、助走をつけてその上を飛び越えて勢いよく 前回り受け身をしたりする。
まあ、毎回するもんでもないです。
練習では、基本左右の形を交互に繰り返す。
道場の壁端から壁端まで1往復以上、最低左右それぞれ2回以上はこなす。
![前回り受け身](/images/gazou/mawari2to4.gif)
それぞれの段階に分けた「受け身」の練習方法を紹介しました。
習熟度に合わせ、無理をせずに練習してみてくださいね!
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引き続き、次の記事に進んでみてください!
![自然体](/images/gazou/0021.jpg)
今回は柔道の約束事、つまりルールの説明をします。 自然体や自護体などの「構え」、引き手と釣り手を掴む「組み手」… 【柔道実践マスターシリーズ=ド素人編6=】
PS.
柔道着、サポーターなどのグッズを紹介した記事も書いていますので、ぜひ一読を!
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【柔道部物語】
アラフォー以上の柔道経験者のバイブル漫画。
すぎひろが中高生の時に連載。
かの五輪3連覇の 野村忠宏七段(参考:ウィキペディア)も、影響を強く受けたのは有名な話。
主人公の三五十五が高校から柔道を始め、僅か2年ちょいで日本一になるというチートストーリー。
作者の小林まことさんが柔道経験者という事もあり、柔道の描写が他の柔道漫画の追随を許さない。
『YAWARA!』の浦沢直樹さんも『帯をギュッとね!』の河井克敏さんも経験者らしいですが、柔道シーンの迫力は敵わない。
一流柔道家が読んでも熱中するレベル。
アラフォー以上の柔道経験者のバイブル漫画。
すぎひろが中高生の時に連載。
かの五輪3連覇の 野村忠宏七段(参考:ウィキペディア)も、影響を強く受けたのは有名な話。
主人公の三五十五が高校から柔道を始め、僅か2年ちょいで日本一になるというチートストーリー。
作者の小林まことさんが柔道経験者という事もあり、柔道の描写が他の柔道漫画の追随を許さない。
『YAWARA!』の浦沢直樹さんも『帯をギュッとね!』の河井克敏さんも経験者らしいですが、柔道シーンの迫力は敵わない。
一流柔道家が読んでも熱中するレベル。