儀式開始
(
Okan Caliskan
Pixabayからの画像)
○儀式が始まる。
洞穴前で胴を縛られた5人を座らせ、黒い尖り頭巾を被ったシャーマン?が訳の分からない呪文を唱えている。
洞穴の周りには、いかにもな篝火(かがりび)が焚かれている。
20分ほど呪文と謎のダンスを行ったのち、5人をとうとう洞穴内に入れた。
その際、なぜかシャーマンのうち1人が一緒に入る。
すると他のシャーマンが重い鉄扉をガガガガーっと閉じる。
そして残りのシャーマンが
「岩山の神々よ!確かに御子達を遣わしました。
怒りを鎮め、村の行く末を見守りたまえ。」
と唱える。怒りを鎮め、村の行く末を見守りたまえ。」
5分程して再び扉を開く。
すると先程一緒に入ったシャーマンが出てきて、再び扉を閉じる。
簡単に閂(かんぬき)をかけただけのようだ。
どうやらこれで儀式が終わったようだ。
シャーマンが去っていく。
「良かった。開けられそうだ。
行こうか・・・んっ、待て!誰か来る!」
○直後、二人の男がやってくる。
「つつがなく終わったようだな。
なにやら雑兵集団が嗅ぎ回っていたようだが。」
「・・・後の3人が来ないな。
もしこちらに向かってくる輩がいれば始末するように言っておいたのだが。」
「あいつが黒幕か!?
誰か襲われてなければいいが」
もう1人は村の役人でアムドという男のようだ。
服装が先程のシャーマンと同じだ。
儀式に参加していたのか。
「ローゼスさん、今回は一気に5人送り込めました。
今後もよろしくお願いしますよ!」
「まあ、あの程度の巡検隊に何ができるわけでもあるまい。
もしばれそうになってもちょっとつかませてやればよいのだ。」
新兵下を向きながらせかせか何かやっていたが、今の発言を聞いて
「ワイロっスか!?」
と思わず大声たててしまう。
「誰だ?」
「しまった!ここは開き直って尋問すべきか―」
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迷い込んだ女
(
Burak Aslanによる
Pixabayからの画像)
○そこに、新たに一人駆け込んでくる。
若い女か?
「助けてください!変な男3人組に追いかけられているのです」
アムドとローゼス、「まさかあいつらが」という呆れ顔。
「大丈夫ですよ、お嬢さん。
おそらくそいつらは私の部下ですから。
後できつくお灸をすえてやります。」
「ところでこんな夜にどうされました?
親御さんのもとへお送りしますよ?」
「構いません。私は家族などおりませぬ。
天涯孤独です」
アムド、ちょっとほっとした表情をすると、すぐニヤリとして
「こいつは今回遅れた分の利息として、いかがです?」
「なかなかの上玉・・・悪くない」
「一体何の話ですか?」
「この村に未練がなければ、我々の街に連れていってあげようと思いましてね?」
「この村を出て街へ?行きたい!でもしきたりが・・・ 」
ガトー、みすみす餌食(えじき)にされそうな女にやきもきしている。
「助けないんスか?男が廃るっスよ!」
「取り敢えず控え続けてくれ!隙を見て突撃する」
慎重なガトー。
むしろ不思議な事に女?に対しなぜか「大丈夫だろう」という安心感まで生じる始末。
「では、こちらに向かいましょうか。」
洞穴扉前、ガトー達の近くに寄ってくる。
「えっ!ここって儀式の洞窟ですよね?
私を殺すのですか?」
「まさか!ここはパワースポットでね!
村の出入り口の近くまでワープさせてくれるんですよ」
「!とうとう白状したぞ!一言一句メモってるよな?」
「バッチリっスよ!」
「よし、行くぞ!」
すると女がこちらの方を向き、来るなと言うようなジェスチャーをする。
そして自らの胸に手を当て、まるで私に任せろといわんばかりの表情をする。
「えっ!エッ?そんなバカな・・・」
「では、頼むぞ」
アムドにそう言うと、3人は中に入っていく。
戸惑いながらも扉手前まで後を追い、様子を伺うガトーと新兵。
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洞穴の仕掛け
「広い・・・何もないんですね。」
洞穴内は松明(たいまつ)のわずかな明かりと、生け贄(にえ)が座ると思われる簀(すのこ)がいくつか敷いてあるだけの、何もない空間だ。
どうやら先程入った若者達はもう消えてしまっているようだ。
「一面岩壁ですが、どうやって村の外まで?
まさか本当に神様が・・・」
ローゼス&アムド、
「本当に可愛い女だなあ」
とニヤニヤ。「実はネタバラシがあるんですよ!
他の村民には言わないでくださいね。
まあ、二度と村に戻る事もないでしょうが」
ローゼスが何もない岩壁をノックする。
ちょっと軽い音の響きがする。
「ローゼスだ。開けろ!」
アムドがその間に岩壁の前に簀(すのこ)を斜めに立て掛けている。
どうやら足下の地面に溝があって、そこに簀の先を差し込んでいるようだ。
「ガコッ」
と固い音と共に、何と岩壁の一部が直径1m程の円形に浮かび上がって上側から開き、ちょうど立て掛けた簀(すのこ)の真ん中に転がる様に止まった。
まるで壁にはまったマンホールのよう。
「さあ、通りなさい。」
○開いた岩蓋の向こう側に、ローゼスの仲間とおぼしき人影と松明(たいまつ)の灯りが見える。
「運良くこの洞穴に続いていたとはいえ、この砂岩層を掘り進めるのはいささか骨が折れましたよ。
・・・では蓋を頼んだぞ」
「毎回これを1人で閉めるのがきついんですよねえ~」
「貰う物貰っておいて一言多いな!」
「まあ、ご勘弁を、ヘヘヘっ」
今回はここまで。
「その5」に続きます。
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